7月 05

ダウンタウンさんのネタの作り方を、友人で作家の高須光聖さんと、フジテレビの「ごっつええ感じ」に携わっていた小松 純也さんが、対談で語っているので、引用して解説してみます。

高須光聖 「小松純也」

「トカゲのおっさん」というコントは、元々長くなかったのだが、現場で松本人志氏が長くしようと提案したという流れから

小松: 松本さん、浜田さんを交えて、
ネタを30分用に練り直してたんですけど、
どうしても煮詰まってきてしまったんですよ。
松本さんを中心に、その現場にきていた作家とか
僕とか入っていろいろネタを出すんですけど、
どうも話が流れていかない。
そしたらね、いきなり何も言わへんかった浜田さんが
仕切りだしたんですよ。
「これは、松本がこんな風に台詞言うやろ?
 そしたら、俺がこれこれこういう風に返せるやんか。
 それやったら、問題なく次にいけるやろ?」とかってね。
高須: へぇ~。
小松 : 僕は
「あ、これはダウンタウンの別のスイッチが入ったな」と
思って、びっくりしましたね。
「うわっ、こんな風におもしろくなっていくんだ!」って
目の当たりにしたわけですから。

現場でネタを変えちゃうっていうのが、まずすごいのですが、そこから長く作り変えちゃうっていうのもすごいです。

そして、松本さんがネタを考えていくのを、浜田さんが仕切ってサポートしていくというのが、特徴でしょうか。
芸人でよくあるパターンは、ボケだけがネタを考えて、ツッコミは何もしないか、ツッコミも混じってネタ(ボケ)を考えるというパターンなので、ネタ(ボケ)を考えることをサポートするというのは、意外に思う芸人さんも多いのではないでしょうか。

そこから、高須さんが、ダウンタウンさんが漫才をつくる時の情景を語ります。

高須: なるほどね。
漫才つくる時とか、そうやねん。
小松: そうなんですか。
高須 俺、あの二人が漫才つくる時、一緒に居ったりしててんけど、
二人居てるやろ?
まず松本が
「浜田、こんなんしようと思ってんねんけど…」って言うと、
「うん、うん、ええよ~」って。
で、ある程度ネタの雰囲気だけ説明すんねんけど、
それを松本は相方の浜田を見るんじゃなくて、
俺に向かって喋んのよ。
小松 へぇ~、なるほど…。

ダウンタウンさんの強みってここにあるなぁと思います。大抵の芸人ってコンビの場合、ネタを作る、練習する時に二人でやることが多いです。そこに客観的にネタを見ることができる人がいるというのは、非常に強いです。特に、ちゃんと笑いのわかる人が見てくれるのはすごく強いです。笑いを作っていると、これって面白いのか? という笑いのダイレクトなところはもちろんですが、これって伝わるか? (知識的にも、流れ的にも。)が、わからくなったり、ネタの部分が普通、当たり前になってしまったりして、わけわからなくなってきます。

ネタ作りにおいて、実際に見ている人が笑うのか? というのが一番わかりやすいネタのテストになるのは、間違いないですし、ウケる確率が高くなるのは間違いないです。

とはいえ、現実問題として、芸人がネタを見てくれる第三者を作るといのは、なかなか難しいことじゃないかと思います。という意味で、プロからダメだしをもらえる養成所のネタ見せは、かなり貴重な時間とも言えます。

#そんなサービスを弊社で作れたらなぁとは考えています。

さらに高須さんが、ダウンタウンさんの漫才の作り方を続けます。

高須: これ、対談読んでる人達には伝わるかなぁ、分かるかなぁ?
で、浜田も松本を見ずに、また俺に向かって
ツッコミを入れるのよ。(笑)
コンビ同士でやってると気恥ずかしいから、
俺を挟んでネタを詰めていく。
そうしながら、二人ともアドリブを少しづつ入れてくる。
第三者の俺がどういうリアクションとるか見て、
ネタを膨らましていく。
で、最初はネタそのもののビジョンが見えてる松本が
主導権握って、話を進めていくねんけど、後半になってくると、
浜田の方がネタのだんどりを仕切っていくねんな、
不思議なことに。
「それやったら、俺がこう突っ込むわ、
 そしたら松本のさっきのボケ生きてくるでぇ」って
どんどん進め出すのよ、
そしたら、松本も浜田の言った突っ込みのフレーズに触発されて、
自由度の高いボケがどんどんテンポよく出てくる。
そうすることで、お互いが次のステップに
斬り込んでいけんのよね。
松本が煮詰まると、浜田が整理する。

第三者のリアクションで、ネタを判定し膨らましていくというのは、非常に効率的で質の高い笑いを作れる方法かと思います。

そして、ネタを作っていると、必ず煮詰まるものです。
ネタが全部できっちゃうとか、何が面白いかわからなくなってくるとか、ずーっと考えているから頭がぼーっとして新しいアイディアもでてこないとか。二人で考えているとそうなりがちだけども、一人が整理するというのは、非常に興味深い方法論だと思います。

そして、「ごっつええ感じ」の小松さんが、浜田さんの行動を話しします。

小松: そうなんですよね。
今まで一言も喋れへんかったのに、
「いや、それは違うで」ってビシッときっかけ
入れてくれはったりしますもんね。
整理整頓しはるんですよ、絶妙に。
僕はそれを「トカゲのおっさん」で初めて見たんですよねぇ。
…それまで結構『ごっつ』はやってたはずなんですよ。
五年とか、六年とかダウンタウンって人達と一緒にやってて、
その時それを初めて体感したんですから。
まぁ、秘密を見たっていうか、真髄を見ちゃったというか…(笑)。
で、47分のオンエアがある番組で、実に37分がコント、って
前代未聞のものが出来上がったわけです。
VTR止めてから松本さんが
「あー、一時間行かれへんかったなぁ~」って笑いながら
言ったんですけど、その時はスタジオが、もう、
完全に一つでしたよね。

コンビでツッコミの人が全然ネタがダメだと、ボケの人だけがずっと考えるという形になりがちですが、ツッコミの人が「それは違う」とビシッと言えるのは、非常にいい関係というか、強いですよね。幼馴染だからというのもあるかも知れません。組んだばかりのコンビだと気を遣ったりして、なかなかそこまでいけないことも多いでしょうから。

僕もテレビ番組の「明日があるさ」だったか、映画の撮影現場のメイキング映像で、浜田さんが、仕切っているのを見たことがあります。こう振った方がおもしろいんじゃないか?など様々なアイディアを出している姿が見られました。多分、そういう感じなのではないでしょうか?

コンビでのネタ作りにおける役割分担と、第三者の役割は非常に大きいということがわかる対談でした。

こちらのエントリーもどうぞ。
ダウンタウンの松本人志さんが語る漫才の作り方

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13つのレスポンス “「ごっつ」から学ぶダウンタウンのネタの作り方”

  1. とんび さん曰く:

    「煮詰まる」はもうすぐ結論が出そうな事なので、引用された部分も含めて、使い方を間違っています。
     でも、そろそろこの誤用は、誤用が定着した系で辞書に載りそう。

  2. puchiban さん曰く:

    ここでは、行き詰るの意味で使っているので、既に誤用じゃないと思います。
    特にお笑いの世界では、煮詰まる=行き詰る ですね。

    #そもそも、誤用という考え方が間違っていると僕は思いますが。言語学者に聞いてもそういうと思います。

  3. ごっつ さん曰く:

    2008年の6月25日の記事に(面白くなる方法という本を作ろうと)と書かれていますが、もう本は出版されてるんですか?
    もし出版されてないならいつ頃出版する予定か教えてください!
    よろしくおねがいします!

  4. puchiban さん曰く:

    全く出版されておりません。
    いつ出版する予定かも決まっておりません。

    本当に出版したいのですけどねぇ。

  5. puxtutixyo さん曰く:

    堀内 健タイプのボケの生かし方に投稿したpuxtutixyoです。
    行列などが張ってあるサイトがあったのでhttp://veohdownload.blog37.fc2.com/blog-category-49.htmlここの動画から笑いを解説してください!
    よろしくお願いします。

  6. puchiban さん曰く:

    時間ができたら、是非そういうこともやりたいですね。

    #今は、全く時間が取れないです…

  7. ユーモア、川柳、名言 さん曰く:

    ねたの作り方

     「ユーモアとは ユーモアのセンスとは」 http://murakitatsuo1969.hamazo.tv/e2133443.html話は①情況を分からせる部分と②落ち(納得、想定外)が必要だ。事実の場合は落ちのある話を探してくれ…

  8. あほっほ さん曰く:

    〔煮詰まる〕は完全に誤用ですよ
    仕上がってきている状態を指す言葉です。

    言葉のプロなら言葉について勉強しましょう。

  9. puchiban さん曰く:

    Yahoo辞書によると、1950年代からそういう使い方もあるので、完全に誤用ではないみたいですけど。

    Yahoo!辞書 – に‐つま・る【煮詰(ま)る】 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E7%85%AE%E8%A9%B0%E3%81%BE%E3%82%8B&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=16273514067700

    お笑い芸人という意味なら、誤用(言葉の範囲を変える)するのが実はプロかと。
    辞書通りの正しい言葉の使い方をするのは、お笑い的ではないと思います。

  10. shimada さん曰く:

    楽しく読ませてもらってます。
    ただこの煮詰まるの誤用、誤用じゃないのやり取りは
    残念でした。
    このやり取りの印象が強すぎて
    肝心の本文の伝えたいことがかすんでしまって見えます。

  11. puchiban さん曰く:

    >ただこの煮詰まるの誤用、誤用じゃないのやり取りは
    >残念でした。
    >このやり取りの印象が強すぎて
    >肝心の本文の伝えたいことがかすんでしまって見えます。

    どういう意味ですか? そして、なぜ?

    日本語の誤用に関する考え方については色々あると思いますが、僕の考え方の方が言語学のプロや言葉のプロの中ではメジャーな考え方かと思います。言語のプロが、日本語としてそれは誤用だ、間違っているということはあまり言わないと思います。

    日本語の誤用 – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%AA%A4%E7%94%A8

    まぁ、直してもいいんですけどね。

  12. ykz さん曰く:

    はじめまして。最近このサイトを知り楽しく読ませていただいています。

    自分もお笑いではありませんが、近い業界にいる者なので、
    「正しい日本語使おうね~」的な揚げ足取りにはやはりカチンと来てしまいます。

    「煮詰まる」へのツッコミも正直うんざりする思いで読みましたが、
    冷静に考えると、「煮詰まる」ってひょっとして業界用語なんじゃありません?

    いわゆる「確信犯」のような、違う意味が一般的に完全に浸透した状態ではなく、
    「煮詰まる」=「行き詰まる」というのは、一部の業界でしか通用しない使い方なのかも。
    自分は外の業界知らないし、あまりに普通に使っている言葉なので判断つきませんが。

    だとしたら、業界外の人が誤用と思うのもまあ無理は無いので、
    注釈付きにすべきなのかな・・・と思いました。

  13. puchiban さん曰く:

    個人的には、正しい日本語というもの自体がないという考えと、芸人は言葉を変えていく方の人だと思うので、正しい日本語という考え方には賛成できないのですが、正しい、正しくないという考え方をする人もいるもの事実なので、そういう指摘を受けないように言葉を使う方がいいという気はしています。

    「煮詰まる」という言葉が、業界用語なのか?そして、どういう使われ方をしているか?は、正確にはつかみづらいですが、少なくとも僕の周りでは「行き詰る」の意味で利用されていますね。

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