笑いに必要な基礎的能力
今回は、笑いを取る時の基礎中の基礎のお話です。
これができないと、いくら面白いことを言っても、やっても笑いを取ることができないです。なので、どの笑いの理論、技術より一番初めに身につけるべき知識であり、能力です。ただ、できる人は何もしなくてもできてしまうし、できない人は相当がんばらないとできないという能力です。
多分、お笑い関連の本でちゃんと書かれたことは一度もないでしょうし、お笑い学校でこれをちゃんと教えられる人、ところもほぼゼロです。日本全国でもちゃんと教えられる人は40人いないと思います。今回は、そこまで深い話はしませんが、基本的な話を。
今まで以下のようなことはありませんでしたか?
- 笑いの取り方やギャグのパターンの本を読んで実践してみても笑いを取れなかった。
- 芸人さんがやっていたギャグをやっているのに笑いが取れなかった。
- 何を言っても笑いを取れない。
理由は簡単で、言語的に面白いことをやっても笑いが取れないのであれば、非言語的なところに問題があるということです。
非言語的なもの
では、非言語的(ノンバーバル)な表現にはどんなものがあるでしょうか?
いくつかあると思いますが、あえて書かないので考えてみてください。
笑いの技術で非言語的な部分を使って笑いを取る方法もありますが、それも書きません。(文字でネタを書いている人は、この方法を使って笑いをとることが少ないので、留意してみると笑いの幅が広がると思います。決して動きや顔で笑いを取るという意味ではありません。)
そもそも今回は笑いを取る技術を書きません。もっと基礎的だが、重要なことを書きます。
何が伝わるか?クイズ
お芝居を勉強した人なら簡単な質問ですが、お付き合い下さい。
Q1. 異性に「好きだ」と言ったら、相手に何が伝わるでしょうか?
Q2. 台本に「好きだ」という文字だけが書いてあり、あなたは、異性の役者に向かってそのセリフを言います。観客(見ている第三者)は、あなたが何を伝えていると思うでしょうか?
答え
Q1の答えは、「自分の好意が伝わる。」Q2.の答え、「好意を伝えていると思う。」っていうのはものすごく間違いの答えです。簡単に言うと、表現しだいで色々に伝わります。つまり極論を言うと、「好きだ」と言っているのに嫌いと伝えたりできますし、意図しないところで嫌いと伝えてしまっている場合もあるでしょう。
よく学校の先生が「死ね」って言ってはいけませんと言いますが、「死ね」と言っても好きと伝えることもできるのです。芸人はよくこういう言葉を使いますが、仲がいいんだなとか、好きなんだなって伝わりませんか? つまり、技術的なことを言えば、ネガティブな言葉を使う時は、非言語的な表現でポジティブに伝えながらということをすれば、結果ポジティブに伝えることができるのです。
簡単なことですが、「好き」と言えば「好き」と伝わると無意識に思っているの普通じゃないでしょうか。僕も芸人や芝居を習わなければ、一生そう思っていたでしょう。
ちなみに、ザ・パンチというコンビがする「死んで~」というツッコミは、クレームがついたらしく利用しなくなったそうです。非常に馬鹿げたクレームです。何が伝わるのか?を理解できないで、「死ね」と言ってはいけませんと言ってしまう教師や大人にならないように気をつけたいものです。
「メラビアンの法則」?
「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことがありますでしょうか? 言語、視覚、聴覚の与える印象に関する話で、正確にはこの文章の内容にはあっていませんがが、興味深く、参考になるので触れます。
『メラビアンの法則』が示す非言語的コミュニケーションの有効性と言語情報との相補性 カウンセリングルーム:Es Discovery/ウェブリブログ
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1970年代初頭に報告した『メラビアンの法則』では、話し手が聴き手に与える印象の大きさは『言語情報:7%, 視覚情報:55%, 聴覚情報:38%』の割合だとされます。
正確にはこの文章に合わない、言語情報が7%ってわけではない理由は、以下のページに書いてあります。
日々是ディベート: 言葉が7%なんてことはない――プレゼンテーション「メラビアンの法則」伝説
【メラビアンの法則】天使と悪魔のビジネス用語辞典
ともかく、言語情報だけが伝わるというわけではなく、伝えるという意味では視覚、聴覚も重要な意味を持つということがわかって頂けましたでしょうか?
#お笑い関連でこういう研究や実験データってないんだよなぁ…
伝えるという能力
笑いを取る以前に、意図を正確に伝える能力のない人は笑いのとりようがありません。ただ笑われることはできるかも知れませんが。お笑いの学校で面白い発想を持っている人、面白いことを考えられる人はすごくいるのですが、表現ができなくて消えていく人がすごく多いのです。(そういう人のために表現を鍛えるため作ったのが芸人養成所とも言える。)つまり、面白い発想を持っていても、人前では笑いは取れないということです。面白い発想ができるプロは作家さんであり、芸人は表現するプロと言ってもいいと思います。笑いのプロと素人の違いは、素人は面白くても多数の人に表現する能力がない。プロは笑いをちゃんと表現できるとも言えると思います。
伝えなくても伝わる
一番知って欲しいことは、伝えなくても伝わっているということです。
みんなで会話している時に黙っていれば何も伝わらない…ってことはないです。色々なメッセージを周りの人は受け取っています。二人きりでいて二人で沈黙してしまった…きまずい。って思うからきまずいのであって、何も話さなくても色々伝わります。
次に何をしゃべろうか?って考えながら話を聞いていると、ぼーっとしているように伝わったり、何も聞いていないかのように伝わったりします。トークでもネタでも相槌を打ったりして反応しないと、見ているほうはすごく変な印象を受けます。
一瞬で伝わること
初めて会う人でも1秒もかからない間に色々なことが伝わるという事実を知り、もっと意識し、コントロールできるようになると非常にコミュニケーションがしやすく、当然うまく扱えれば笑いも取りやすくなります。
一瞬で何が伝わるか?
初めて会う人を見た瞬間に、まじめそう、頭が良さそう、遊んでそう、怖そうなどなど色々伝わりますよね? 酷い場合だと見た瞬間に、こいつの話は聞きたくねぇな、生理的に合わないな、なんか腹立つという場合もあります。その瞬間に笑いを取るどころじゃなく、話さえちゃんと聞いてくれないわけです。そこは絶対に避けなくてはいけません。むしろ、この人の話を聞きたい、なんか面白そうと思われるのが理想です。
非言語的な表現のコントロール方法
では、どうやって非言語的表現をコントロールするのでしょうか?
結論から言います。気持ちをコントロールして下さい。気持ちをコントロールして、非言語的表現をコントロールして下さい。プロの役者でも基本的な部分ではそうしているはずです。
プロの芸人であれば、普段やっていること、当たり前の話だと思いますが、作家さんやお笑い事務所の人など人前で表現していない人にはわかりづらい部分、教えられない部分です。そして、プロの芸人でも技術的にどうやるのか?というのはわからなかったりします。なぜなら、ほとんどの人は意識しないではじめからできちゃっている人ですから。
もっとも大切なこと
精神論っぽく聞こえると思いますが、気持ちはものすごく大切です。
笑いをやっていてやりづらい人は、やっぱり気持ちの部分がやっぱりキツイ場合が多いです。つまんなそうに見える人に楽しい話はしづらいし、不機嫌そうな人には話しかけたくないです。キレそうな人には、言葉を選んで慎重にトークします。というか、気を使ったり、面倒だったりするので普通話したくないです。
逆に言えば、そうでないということを全身で伝えておけば、自然に笑いが起きやすい状況になります。
個人的な経験からも、自分が引いている時は何を言っても面白いことを言っても全くウケないです。
お笑いをやっているとよく言われるのは、「引くな」「前に出せ」「さらけ出せ」「オープンに」「オープンマインド」「気持ちを開く」ということです。そういう人が目立つし、魅力的です。
最後に
ということで、面白いネタを一生懸命考えたり、お笑いの技術本を沢山読んだりしても、この表現するという基礎的な能力がない人、能力が低い人はいくらやっても笑いは取れないということを理解してもらえたでしょうか。
芸人や役者のように表現をしている人にとっては当たり前だったりする話ですが、お笑い関連の文章でこれを書いているものが重要なわりに存在しなかったので、初歩的なところを書いてみました。表現というのは本当に奥が深いので、今後は徐々に表現の種類別で笑いを取るための細かいテクニックを書いていこうと思います。
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